リリイシュシュのすべて
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/06/28
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リリイシュシュのすべて
(2001年公開・日本・146分)
2006〜2007 自宅で鑑賞。
個人的点数:95点。
岩井俊二 監督作品。
こちらでの初映画感想は、大好きな監督の大好きな作品を。
舞台は田園風景が広がる地方都市。
中学生の蓮見雄一(市原隼人)はかつての友人・星野(忍成修吾)が率いるグループからいじめを受けていました。
家庭環境も複雑な彼の唯一の心の支えは、リリイ・シュシュというカリスマアーティストの曲を聴くこと。
星野から売春を強要されている津田(蒼井優)にもリリイの曲をすすめ、ともに過ごしていきますが……。
ネタバレなし。
高校1年生か2年生の時に何となくTSUTAYAで借りて観て、衝撃を受けました。
救いがない鬱々としたストーリーと、どこまでも美しい映像の対比。
登場人物たちの置かれた過酷な状況を裏切るかのように流れる、ドビュッシーの優美な音楽。
そのアンバランスな美しさに、映画ってこんな表現があるのか、映画っておもしろいな!と感じたのを覚えています。
本格的に映画にハマるきっかけとなった、感慨深い作品です。
DVDを買って、テスト勉強や受験勉強をしながら夜中に毎晩流していました。
みんなが田んぼの真ん中にいるシーンと、津田さんがカイトをあげているシーン(から……シーンまで)を延々リピートしていましたねー。
蓮見たちが旅行に行くシーンで手持ちカメラのブレブレの映像になるのが印象的で、カメラワークやショットについて認識したのもここからですかね。
大学でこの作品の分析発表したのも懐かしい。
(表象文化論という近現代の人間が作り出したもの=表彰物を分析する専攻でした。映画や漫画、アニメ、音楽、広告やCMなど何でもありでものすごく楽しかったです)
今作が市原隼人くんと蒼井優さん(結婚おめでとう)の映画デビュー作っていうのも外せないですよね。
ふたりともみずみずしかった……自然な演技が素晴らしい。
救いがあるようなないようなラストも大好きです。
そして忍成くんのクソ野郎役は最高としか言えません。
正直、アラサーの今初めてこの作品を観るとしたら、個人的点数が変わるかもしれないとは思います。
ストーリーにはつっこみどころもあるし、画面的に見づらいシーンも多いからストーリーとあいまってストレスフルだし。
でもこの作品にはそんなストレスを吹き飛ばす、鮮烈な映像美と登場人物たちの切実な叫びがあるんですよね。
そもそもこの作品と出会わなかったら、おそらく映画にハマっていないわけで。
とても大切な作品です。
ちなみにわたしは地方都市で閉塞感を感じ鬱屈とする若者フェチなのですが、それもおそらくこの作品がきっかけだと思います。笑
読んでいただきありがとうございます!